夕張高校チャレンジ・モア・スピリッツ 第17号

夕張に多世代交流カフェを提案します!


 昨年末から公設塾キセキノにて企業家教育事業である「ソーシャルアントレプレナー育成プログラム」が行われた。この事業に参加した生徒に実際に感じたことや、学んだことについて、インタビューを通して迫っていこう。

 

ソーシャルアントレプレナー育成プログラムとは

 中小企業庁主催の高校生を対象とした起業家教育事業である。テーマは、地域の課題を高校生と地域住民が共に探求し、その解決策となるビジネスプログラムを検討するというもの。さらに、検討したプランを東京都で開催される全国起業家プレゼン大会にて発表を行った。

 今回は大会当日のプレゼンテーションを行った宮岸由海君(以下敬称略)に話を聞いた。

企業家教育プログラム検討の様子
今回話を聞いた宮岸君(中央)4日間に及ぶ検討を地域の大人と共に行った。

参加してみてどうだった?

記者

 参加したきっかけは?

宮岸

 きっかけは友達に誘われたからです(笑)自分の住む町の課題についてなので興味が出てきました。

記者

 実際に考えてみてどうだった?

宮岸

 僕は女子高生が欲しいと思うもの注目しました。夕張では放課後に集まったり、寄り道できる場所がないことなどから友達と過ごす時間が少ないことが問題だと考えました。

 

記者

 なるほど、地域の課題は発見できたんだね。そこからビジネスプランは作れた?

宮岸

 課題から帰り道などに友達と過ごせて、カフェを作るという話になったんですけど、仕事に繋げるのがすごく難しくて、同じ班の大人にアドバイスをいただきました。

記者

 難しかったというのは具体的にどの部分なの?

宮岸

 カフェ運営するための経費や、開業準備に必要な費用など、経営に関すること検討するのが難しかったです。

プレゼンテーションの様子
大会でプレゼンを行ったのは全国から集まった10校。その中でも舞台上でパフォーマンスを行うなど工夫したプレゼンを披露。会場を大いに沸かしていた。結果は残念ながら受賞とはならなかったが、オーディエンス部門で4位に選ばれるなど、その思いは確かに伝わっていた!

プレゼンテーションに挑戦!

記者

 夕張で検討したビジネスプランを東京で開催された起業家プレゼンテーション大会で発表したよね。人文字パフォーマンスはいつ考えたの?

宮岸

 東京についてから考えました(笑)前日の練習の中で、インパクトの残る発表がいいんじゃないかと意見が出たので、思い切ってやりました。会場も盛り上がっていたし、自分たちが楽しむことも大切だと思っていたので、挑戦してみてよかったです。

記者

 楽しむのは大事なことだね!当日は運営側の手違いで間違った発表資料が投影されて大変だったよね。もう一度発表できると決まった時はどう思っていたの?

宮岸

 資料が間違えられたと気づいたときは、正直焦りました(笑)練習してきたものを全て出すことができなかったので、2回目をできるるかもと聞いたときは、たとえ賞などは貰えなくても、正しい資料を使って自分の気持ちを伝えたいと思っていました。

起業家プレゼンを終えて

記者

 起業家教育プログラムを終えての感想は?

宮岸

 今回のプラグラムは、正直考えるのが難しいと思う部分も多かったですけど、一緒に検討した大人の方に助けていただいたので、最後まで自分の意見を発表することができました。また同じような機会があったら、しょっ局的に参加しようと思いました。

記者

 起業の印象は変わった?

宮岸

 最初起業家教育プログラムって聞いてとっつきづらそうだなと思ったんですけど、やっているうちに、自分の意見が生まれたり、わからないことも考えるのが面白いと思えるようになりました。

記者

 わからないことが面白いか、大したもんだなぁ・・・

「起業家プログラムを経験して、進路選択の視野が広がった」と語ってくれた宮岸君。これからも多くのことを吸収してください!


夕張高校チャレンジ・モア・スピリッツ 第16号

真冬に常夏の邦へ 海外短期留学


 夕張高校では初となる海外短期留学研修が、米国はハワイ州にて実施された。9日間の海外経験は生徒たちに何をもたらしたのか?今回のチャレンジ・モア・スピリッツでは、生徒へのインタビューを中心にその内容に迫っていく。

 

海外短期留学研修とは

 夕張高校魅力化プロジェクトの一環で、ハワイ大学での語学研修や、ホームステイを経験し、語学力・コミュニケーション力を身に着け、広い視野を持ったグローバル人材を育成していこうというもの。今回は8名の生徒が参加した。

 なお、留学費用はふるさと納税を原資としている。

清野さんら
今回話を聞いた清野さん(左)。「滞在中はホームシックどころか、寒い北海道に帰りたくなかった」と楽しそうに語った。

どうだった?短期留学

記者

 初めての海外だったんだって?実際に足を踏み入れてみてどうだった?

清野さん(以下敬称略)

 飛行機から降りてしばらくはハワイに来たという実感がありませんでした。お昼ご飯にハンバーガーショップに入ったときに、中でお客さんがアメフトを観戦して盛り上がっているのを見て、やっと実感しました(笑)

記者

 文化の違いを見て実感するってよく聞くよね。短期留学は大まかに言って前半はハワイ大学の語学研修、後半はホームステイだったみたいだけど、どんなことが印象に残ってる?

清野

 前半で印象に残っているのは、「ミニEXPO」ですね。「ミニEXPO」というのは、私たちが日本文化や夕張の紹介などをハワイの人達にするイベントなんですけど、事前に人集めをするために、大学構内を歩いている人にインタビューをしながら招待状を渡していったんですよ。

ミニEXPOの様子
「ミニEXPO」の様子。夕張の紹介や折り紙などを英語で紹介していった。声かけをした効果もあって、たくさんの人が来てくれたという。

記者

 もちろん外国人に対してだよね、英語で話しかけるのは緊張したでしょう?

清野

 はい、引き留めて話しかけなければならないので最初は不安が勝っていて(笑)でも一人目に話しかけるともう誰にでも話しかけられるようになりました。

 ハワイの人はすごく優しくて、断るにしても「時間がないんだ」とか「次に授業があるから」とか一言添えてくれたのが印象的でした。

記者

 一言添えてくれたっていうのをちゃんと聞き取れたんだね。大したもんだ!

清野

 あと、来てくれた人に夕張メロン入りのチョコレートをあげたんですけど、こちらの評判も上々でした(笑)

 

記者

 メロンのファンも作ってきたんだね!

ミズーリ艦内スナップ写真
戦艦「ミズーリ」艦内にて。語学研修などの合間に、イオラニ宮殿など、ハワイの名所にも訪れることができた。

記者

 ホームステイはどうだった?

清野

 ホストファミリーが日系の血を引いていて、家で靴を脱ぐ習慣があったり、「ごちそうさま」などの言葉を知っていて、話しやすかったです。

 それでも、日本語はあまり伝わらない環境だったので、英語で頑張って伝えなきゃと意識しました。

記者

 何とかなったかい?

清野

 何とかなりました(笑)ホストファミリーにはあちこちと連れて行ってもらって、オアフ島は一周できたんじゃないかと思います。

 

英語力向上を実感した

清野

 ハワイから帰ってきて、模擬試験と英語検定を受検したんですけど、これまで読めなかった長文が読めたり、英語の会話が聞き取れたり、行く前より英語ができるようになったことを実感しました。模擬試験の時は、英語が読めるようになっていることが面白くて、ちょっと笑ってしまいました(笑)

記者

 成果が実感できたのはうれしいね!これからも頑張って伸ばしていってください!

「せっかくのチャンスを活かさないのは協力してくれている先生や市役所の人に失礼だと思う」と語ってくれた清野さん。みんなどんどん挑戦していってほしいと思います!

号外


夕張高校チャレンジ・モア・スピリッツ 号外

ピコピコ画餅に帰せず!「ピコピコシステム」効果検証特集


小型車両で運行する様子
ピコピコシステム導入後、スクールバス平日部活便を運行する様子。この日は乗車人数が2人のため、小型のタクシー車両で運行することができた。大型車両に比して無駄がない上に、燃料消費や二酸化炭素の面から、環境にやさしいという事実も特筆すべきであろう。

公共交通維持につながる成果

年間約130万円の費用節減

 「ピコピコシステム」とは、スクールバスのうち、乗車人数が一定でない平日部活便(部活動後に乗車する便)と、休日便とをタブレットやスマホ等を用いて予約する(ピコる)システムであるが、このほど市において行った「ピコピコシステム」の効果検証の結果、年間約130万円の費用節減になることが判明した。

 

費用節減のメカニズム

 費用節減の仕組みはズバリ、乗る人数を事前に「見える化」することによる運行の効率化である。

例えば、事前に乗る生徒がいないことが分かれば運行しないという判断をすることができる(空っぽで走らなくて済む)し、少人数であれば小型の車両で運行できるようになるのだ。

技術者に質問する生徒の様子
システムを開発した(株)ユニ・トランドの技術者に質問する夕張高生(当時)こうした高校生の挑戦も決して無駄にならなかった。

開発に夕張高生の参画

 過去に「チャレンジ・モア・スピリッツ第三号」にて報じたが、ピコピコシステムはその開発に当たり、5名の夕張高生(当時)の参画によって使い勝手の改善を行ったところである。

 その甲斐あって、利用する側にとってみても使いやすいシステムが完成したが、システムが完成しただけでは足りない。

 中高生たちに、それを使って予約する(ピコる)習慣が実際につかなければ、運行を効率化する、無駄を減らして交通を守る、という目標はまさに画に描いたモチとなってしまう。

タブレット端末を操作する生徒
学校に配置されたタブレットを使ってシステムを操作する夕張中学校の生徒。今ではこうしたことが日常の風景に。

習慣づけるというむずかしさ

 タブレットやスマホでできるとはいえ、今まで必要がなかった予約(ピコり)はすぐに習慣になったかといえば、必ずしもそうではなかった。

 システム運用開始からしばらくは予約習慣が浸透せず、予約なしでの乗車やキャンセルせずに乗らないことが連日相次ぎ、あわやすべてが水泡に帰すところであったという。

 しかし、運行に当たる丸北ハイヤー、夕張第一交通の皆さんの努力(生徒ごとに実際の乗車・乗車しないを記録)をはじめ、中学校、高校の先生方や市職員による啓発・指導、そして何より利用者である中高生自身の心がけにより徐々に改善していったことで、成果が出せる水準まで習慣化することができた。

 現在も、マナーの低下と向上を繰り返しつつも、なんとかその水準を維持できているという。

「ピコる」ひと手間 社会を変えた

 「ピコる」こと。いくら手軽でもひと手間はひと手間である。しかし、その「ひと手間」が社会を変えたことは紛れもない事実である。この冬、冬期の平日部活便が増便され、高校生がより部活動に打ち込める環境ができた。

 この「ひと手間」が世の中をよくすることは何もスクールバスに限ったことではない。あらゆる分野や場面においてありうることだと筆者は思う。

 中高生だけではなく、社会を構成するひとりひとりがそうした「ひと手間」を惜しまずにできるようになりますように。